こんにちは。今回は東大模試の解説です。
問題
\(n\) を正の整数とし、複素数 \(n+1+2i\) の偏角を \(\theta_n\) とする。ただし、 \(0<\theta_n<\frac{\pi}{2}\) とする。また、 \(\) は虚数単位である。
(1) \(\lim_\limits{n \to \infty}n\theta_n\) を求めよ。
(2) \(\lim_\limits{n \to \infty}n^3(\tan{\theta_n}-\sin{\theta_n})\) を求めよ。
(3) (1)の極限値を \(\alpha\) とするとき、\(\lim_\limits{n \to \infty}n(n\theta_n-\alpha)\) を求めよ。
考え方
自然数 \(n\) に関する数列の極限を求める問題です。(1)(2)(3) すべて極限を求める小問で構成された筋金入りの極限問題です。三角関数絡みの極限を復習するのにうってつけの良問です。
小問の解説の前に、極限の問題に対する基本的なアプローチについて簡単に復習します。
極限を考えるうえでの大原則は、「極限を求める=不定形を解消する」です。これは極限絡みのほぼ全ての問題に対して徹底すべき金科玉条です。
具体的な手順としては、下記4ステップで考察することを推奨します。
- 求める極限が不定形か否かを確認する。不定形でなければ解く。
- 不定形を見つけた場合、不定形の部分とそうでない部分を切り分ける。not不定形の箇所は放置する。
- 不定形の箇所について、手計算で不定形を解消することを試みる。
- 手計算で処理できない不定形は裏技に頼る。(はさみうちの原理、平均値の定理、etc.)
上記4ステップで(1)~(3)を解いていきます。
(1)
与式 \(n\theta_n\) に対して上述の4ステップで考察してみます。
- 不定形か否かを確認する。
\(n\theta_n\) は \(n\) と \(\theta_n\) の積の形で記述されています。このうち \(n\) については \(n \to \infty\) で \(\to \infty\) に発散することがわかりますが、相方の \(\theta_n\) に関しては何の情報もないので極限がわかりません。
そこで、まずは \(\theta_n\) について情報を収集することにしましょう。\(\theta_n\) は複素数 \(n+1+2i\) の偏角とのことですので、\(n+1+2i\) を極形式で表示すれば \(\theta_n\) に関する情報が得られそうです。
極形表示は、
$$n+1+2i=\sqrt{n^2+2n+5}\left(\frac{n+1}{\sqrt{n^2+2n+5}}+i\frac{2}{\sqrt{n^2+2n+5}}\right)$$
であり、実部と虚部がそれぞれcos,sinに対応するため、
$$\cos{\theta_n}=\frac{n+1}{\sqrt{n^2+2n+5}},\space \sin{\theta_n}=\frac{2}{\sqrt{n^2+2n+5}} $$
の表式が得られます。このうち \(\sin{\theta_n}\) は \(n \to \infty\) の極限で 0 に収束することがすぐにわかりますので、与えられた定義域 \(0<\theta_n<\frac{\pi}{2}\) とあわせれば、目当ての極限が
$$\lim_\limits{n \to \infty}\theta_n=0$$
であることがわかります。
このことから、求めるべき極限 \(n\theta_n\) は、∞に発散する因子 \(\color{red}{n}\) と ゼロに収束する因子 \(\color{blue}{\theta_n}\) が掛け合わされた \(\color{red}{∞}×\color{blue}{0}\) の型の不定形であることがわかりました。 - 不定形とnot不定形に切り分ける。
今回の \(\color{red}{n}\)\(\color{blue}{\theta_n}\) はnot不定形として切り分け可能な部位がなさそうです。筋金入りの不定形です。 - 手計算での不定形解消を試みる。
\(\color{red}{n}\)\(\color{blue}{\theta_n}\) の不定形解消を試みます。\(\color{red}{n}\)\(\color{blue}{\theta_n}\) の極限を計算するためには \(\color{blue}{\theta_n}\) を \(n\) を用いた具体的な関数で記述したいところですが、残念ながら難しそうです。偏角 \(\theta_n\) は \(n\) に依存する \(n\) の関数ではあるものの、\(n\) の関数として直接書き下すことは不可能で、三角関数 \(\sin{\theta_n}\) や \(\cos{\theta_n}\) で間接的に記述するのが関の山です。一方、\(\theta_n\) は三角関数により間接的ではあれど \(n\) の関数として記述できるわけなので、\(\theta_n\) と三角関数をうまいこと組み合わせて不定形を解消することができれば、本問はクリアできそうな感じです。そしてこのようなシチュエーションにお誂え向きの公式があったんでした。
$$\lim_\limits{x \to 0}\frac{\sin{x}}{x}=1$$
この公式から、\(\color{blue}{\theta_n}\) は \(\sin{\theta_n}\)との商 \(\color{green}{\frac{\sin{\theta_n}}{\theta_n}}\) の形を作れば不定形が崩せそうです。さらに、\(\sin{\theta_n}\) は \(n\) の関数として記述できることから、\(\color{red}{n}\) の部分と絡めて式変形すれば見通しよさげです。
これを念頭に与式をいじってみると、
$$\lim_\limits{n \to \infty}\color{red}{n}\color{blue}{\theta_n}=\lim_\limits{n \to \infty}\color{red}{n}\color{blue}{\sin{\theta_n}}\color{green}{\frac{\theta_n}{\sin{\theta_n}}}=\lim_\limits{n \to \infty}\color{green}{\frac{2n}{\sqrt{n^2+2n+5}}\frac{\theta_n}{\sin{\theta_n}}}=2$$
となり、無事に目的の極限を求めることができました。
(2)
\(n^3(\tan{\theta_n}-\sin{\theta_n})\) も(1)同様の手順で考察します。
- 不定形か否かを確認する。
与式 \(n^3(\tan{\theta_n}-\sin{\theta_n})\) は∞に発散する因子 \(\color{red}{n^3}\) とゼロに収束する因子 \(\color{blue}{\tan{\theta_n}-\sin{\theta_n}}\) の積であるため、これは\(\color{red}{∞}\times \color{blue}{0}\)の型の不定形です。 - 不定形とnot不定形に切り分ける
与式のtanをcosとsinで書き下してみると、
$$n^3(\tan{\theta_n}-\sin{\theta_n})=n^3\left (\frac{\sin{\theta_n}}{\cos{\theta_n}}-\sin{\theta_n} \right )=\frac{1}{\cos{\theta_n}}n^3(1-\cos{\theta_n})\sin{\theta_n}$$
と変形でき、この表式から、∞に発散する因子 \(\color{red}{n^3}\)、ゼロに収束する因子 \(\color{blue}{1-\cos{\theta_n}}\)、\(\color{blue}{\sin{\theta_n}}\) 非ゼロの定数に収束する因子 \(\color{green}{\frac{1}{\cos{\theta_n}}}\)の積で記述でき、このうち\(\color{green}{\frac{1}{\cos{\theta_n}}}\)だけは不定形に関与しない有象無象なので切り分けて放置しましょう。 - 手計算での不定形解消を試みる。
まず\(\color{blue}{\sin{\theta_n}}\)について、(1)の知見より、こいつは \(\theta_n\) との商の形を作れば不定形解消できそうな感じです。
次に\(\color{blue}{1-\cos{\theta_n}}\)について、この形式を見たらsinの半角の公式を思い浮かべたいところです。
$$1-\cos{\theta_n}=2\times \frac{1-\cos{\theta_n}}{2}=2\sin^2{\frac{\theta_n}{2}}$$
この式変形により、\(\color{blue}{1-\cos{\theta_n}}\)を正弦 \(\color{blue}{\sin{\frac{\theta_n}{2}}}\) の2次式で置き換えることができ、コレも \(\frac{\theta_n}{2}\) との商の形を作れば不定形を潰せそうな感じです。
以上を踏まえて与式を整理すると、
$$\lim_\limits{n \to \infty}n^3(\tan{\theta_n}-\sin{\theta_n})$$
$$=\lim_\limits{n \to \infty}\color{green}{\frac{1}{\cos{\theta_n}}}\color{red}{n^3}\color{blue}{(1-\cos{\theta_n})\sin{\theta_n}}$$
$$=\lim_\limits{n \to \infty}\color{green}{\frac{2}{\cos{\theta_n}}}\color{red}{n^3}\color{blue}{\sin^2{\frac{\theta_n}{2}}\sin{\theta_n}}$$
$$=\lim_\limits{n \to \infty}\color{green}{\frac{2}{\cos{\theta_n}}}\color{red}{n^3}\color{blue}{\frac{{\theta_n}^3}{4}}\color{green}{\left (\frac{\sin{\frac{\theta_n}{2}}}{\frac{\theta}{2}}\right )^2\frac{\sin{\theta_n}}{\theta_n}}$$
$$=\lim_\limits{n \to \infty}\color{green}{\frac{1}{2\cos{\theta_n}}}\color{green}{(n\theta_n)^3}\color{green}{\left (\frac{\sin{\frac{\theta_n}{2}}}{\frac{\theta}{2}}\right )^2\frac{\sin{\theta_n}}{\theta_n}}$$
$$=\frac{1}{2\times 1}\times 2^3 \times 1^2 \times 1=4$$
となり、無事に極限が求まりました。
(3)
\(a_n=n(n\theta_n-\alpha)\) も同じやり方で検討します。(1)より\(\alpha=2\) なので、
$$a_n=n(n\theta_n-2)$$
です。
- 不定形か否か確認する。
\(a_n=n(n\theta_n-2)\) は∞に発散する \(\color{red}{n}\) とゼロに収束する \(\color{blue}{n\theta_n-2}\) の積なので \(\color{red}{∞}\times \color{blue}{0}\) 型の不定形です。 - 不定形とnot不定形に切り分ける。
\(a_n\) も(1)の \(n\theta_n\) と同様の不定形極まる不定形です。 - 手計算での不定形解消を試みる。
結論から申し上げますと、(3)は手計算ゴリ押しが一切通じないつよつよ不定形でございました。
いろいろ試してみた結果、何一つ通用せず徒労に終わりました。完全にわからされました。何の成果も得られませんでした。
従って本問は裏技に頼ることにします。(→手順4)
↓いろいろ試した軌跡
\(\color{red}{n}\color{blue}{(n\theta_n-2)}\) の極限を求めるために \(\color{blue}{n\theta_n-2}\) をどうにかして \(n\) で書き下したいところですが、(1)と同様に \(\theta_n\) の具体的な表式は求まらないため、\(\sin{\theta_n}\) に頼って間接的に記述するほかなさそうです。(1)と同様のアプローチで式変形すると、
$$a_n=n\left (\frac{\theta_n}{\sin{\theta_n}}n\sin{\theta_n}-2\right )=n\left(\frac{\theta_n}{\sin{\theta_n}}\frac{2n}{\sqrt{n^2+2n+5}}-2 \right)$$
となり、ここで手が止まってしまいます。\(\frac{\theta_n}{\sin{\theta_n}}\) が邪魔すぎます。コイツがいなければ分子を有理化するなりなんなり煮るなり焼くなり自由自在なんですが、コイツのせいで要らん係数 \(\frac{\theta_n}{\sin{\theta_n}}\) がくっついてきてしっちゃかめっちゃかになっちゃいます。シンプルな式変形だけでは太刀打ちできなさそうな感じです。
仕方ないので別のアプローチも試してみます。やや唐突ですが、実数 \(x\) の関数 \(A(x)\) を
$$A(x)=\frac{\theta_{\frac{1}{x}}}{x}$$
とおいてみます。もう既にだいぶしっちゃかめっちゃかですがもう少々お付き合いください。コレを用いると \(a_n\) は
$$a_n=\frac{A(\frac{1}{n})-2}{\frac{1}{n}}$$
と書け、 \(\frac{1}{n}=h\) で置換してみると、
$$a_n=\frac{A(h)-2}{h}$$
うっすら既視感を覚える表式が得られます。ここで(1)の結果を思い出せば、
$$\lim_\limits{n \to \infty}n\theta_n=\lim_\limits{h \to 0}A(h)=2$$
と表現できるので、sinc関数のノリで
$$A(x)=\begin{cases}\frac{\theta_{\frac{1}{x}}}{x} & (x ≠ 0) \\ 2 & (x=0) \end{cases}$$
と定めてあげれば
$$\lim_\limits{n \to \infty}a_n=\lim_\limits{h \to 0}\frac{A(h)-A(0)}{h}=A'(0)$$
となり、\(A(x)\) の\(x=0\) における微分係数として解釈できそうな形が得られます。これ幸いと \(A(x)\) の微分を試みたわけですが、ここで致命的なミスに気づきます。改めて \(A(x)\) の表式を眺めるてみると、
$$A(x)=\frac{\theta_{\frac{1}{x}}}{x}$$
となっており、式中に正体不明の変質者 \(\theta_n\) がガッツリ含まれてしまっていることに気づきます。\(\theta_n\) の具体的な関数系は書き下せないため、当然ながら導関数 \(A'(x)\) の表式も求まることはありません。完全に徒労。なぜ気づかなかったのか。
万策尽きたので手計算ゴリ押しは諦めます。つれえわ。 - 裏技に頼る。
万策尽きたので最終手段を行使します。伝家の宝刀ハサミウチ。
さすがに疲れたので手短にいきます。はさみうちの原理は、①なぜ挟むのか?②何を挟むのか?③何で挟むのか?の3点がキーポイントです。コレを意識して考察を進めます。\(a_n\) の表式は
$$a_n=n(n\theta_n-2)$$
というもので、式中の \(\theta_n\) が \(n\) の関数で記述できず、極限計算ができないことが困りごとなんでした。従って、この \(\theta_n\) を何かしら具体的な表式をもつnの関数で両側から評価する必要が生じたわけです。これが今回の目的①なぜ挟むのか?です。\(n\) で記述できない \(\theta_n\) を 記述可能な関数で評価することが今回のモチベーションです。
このことから、②何を挟むのか?も自ずと定まります。今回のターゲットは \(\theta_n\) です。コイツを両側から追い込んでギタギタにしてやる必要があるわけです。
最後に③何で挟むのか?を検討するわけですが、これまでの経緯を振り返れば候補は自ずと絞られてくるかと思います。評価式として必要な条件は「nの関数で記述できる」ことですが、ここまでの流れの中で具体的な関数形が割れてる登場人物はsin cos tan の3人くらいしか居らんので、こいつらをうまいこと組み合わせて評価する他なさそうな感じです。
ここで、やや教養寄りの話になりますが\(\lim_\limits{x \to 0}\frac{\sin{x}}{x}=1\) の導出過程を思い出してみると、コレは \(x=0\) 付近で \(\sin{x}<x<\tan{x}\) が成立することを用いて示されたんでした。この知見は定義域 \(0<\theta_n<\frac{\pi}{2}\) においても適用可能なので、本問の評価式は
$$\sin{\theta_n}<\theta_n<\tan{\theta_n}$$
で進めるのが筋がよさそうです。コレを証明なしで使っていいか否か問題が発生しますが、東大入試なら証明なくてもあんまり減点されないんじゃないでしょうか。証明もわりかしラクにできるので、試験時間と相談して適宜対応するのがいい感じだと思います。答案例では証明してから使いました。
sinとtanの関数形は既に割れてるので、あとは頑張って式変形してゴチャゴチャ計算頑張って両側極限求めて挟んでフィニッシュです。具体的な計算過程は下記の答案例をご参照ください。
解説は以上です。お疲れ様でした。つかれた。
答案例
(1)
$$n+1+2i=\sqrt{n^2+2n+5} \left(\frac{n+1}{\sqrt{n^2+2n+5}}+i\frac{2}{\sqrt{n^2+2n+5}}\right )$$
より、
$$\cos{\theta_n}=\frac{n+1}{\sqrt{n^2+2n+5}},\space \sin{\theta_n}=\frac{2}{\sqrt{n^2+2n+5}} \tag{1}$$
である。題意より \(0<\theta_n<\frac{\pi}{2}\) であり、
$$\lim_\limits{n \to \infty}\sin{\theta_n}=\lim_\limits{n \to \infty}\frac{\frac{2}{n}}{\sqrt{1+\frac{2}{n}+\frac{5}{n^2}}}=0$$
であることから、
$$\lim_\limits{n \to \infty}\theta_n=0$$
が成立するため、
$$\lim_\limits{n \to \infty}\frac{\sin{\theta_n}}{\theta_n}=1 \tag{2}$$
が成立する。(1)(2)式より、求める極限は
$$\lim_\limits{n \to \infty}n\theta_n=\lim_\limits{n \to \infty}n\sin{\theta_n}\frac{\theta_n}{\sin{\theta_n}}=\lim_\limits{n \to \infty}\frac{2}{\sqrt{1+\frac{2}{n}+\frac{5}{n^2}}}\frac{\theta_n}{\sin{\theta_n}}=2 \tag{3}$$
である。
(2)
$$\lim_\limits{n \to \infty}n^3(\tan{\theta_n}-\sin{\theta_n})$$
$$=\lim_\limits{n \to \infty}(n\sin{\theta_n})n^2\frac{1-\cos{\theta_n}}{\cos{\theta_n}}$$
$$=\lim_\limits{n \to \infty}\frac{1}{\cos{\theta_n}}n\theta_n\frac{\sin{\theta_n}}{\theta_n}2n^2\sin^2{\frac{\theta_n}{2}}$$
$$=\lim_\limits{n \to \infty}\frac{1}{\cos{\theta_n}}n\theta_n\frac{\sin{\theta_n}}{\theta_n}\left (\frac{\sin{\frac{\theta_n}{2}}}{\frac{\theta_n}{2}} \right )^2\frac{(n\theta_n)^2}{2}$$
$$=\frac{1}{1}\times 2\times 1\times 1^2\times \frac{2^2}{2}=4$$
(3)
\(a_n=n(n\theta_n-\alpha)\) とおく。(1)より \(\alpha=2\) であるため、
$$a_n=n(n\theta_n-2)$$
と表せる。
\(0<x<\frac{\pi}{2} \) の関数 \(f(x),g(x)\)を
$$f(x)=x-\sin{x}, \space g(x)=\tan{x}-x$$
で定める。 \(f'(x)=1-\cos{x}\ge 0\) より \(f(x)\) は単調増なので、\(0<x<\frac{\pi}{2} \) でつねに
$$f(x)>f(0)=0 \Rightarrow x>\sin{x} \tag{4}$$
が成立する。 \(g(x)\) について、\(g'(x)=\frac{1}{\cos^2{x}}-1=\tan^2{x} \ge 0\) より \(g(x)\) は単調増ゆえ、\(0<x<\frac{\pi}{2} \) でつねに
$$g(x)>g(0)=0 \Rightarrow \tan{x}>x \tag{5}$$
が成立する。(4)(5)式より、
$$\sin{x}<x<\tan{x} \left (0<x<\frac{\pi}{2} \right ) \tag{6}$$
が成立し、(6)式に \(x=\theta_n\) を代入すれば、
$$\sin{\theta_n}<\theta_n<\tan{\theta_n} $$
$$\Leftrightarrow \frac{2}{\sqrt{n^2+2n+5}}<\theta_n<\frac{2}{n+1} \tag{7}$$
が得られる。(7)式を変形すると、
$$(7)式 \Leftrightarrow n\left(\frac{2n}{\sqrt{n^2+2n+5}}-2 \right)<n(n\theta_n-2)<n\left (\frac{2n}{n+1}-2 \right )$$
$$\Leftrightarrow \frac{-2n(2n+5)}{(n+\sqrt{n^2+2n+5})\sqrt{n^2+2n+5}}<a_n<\frac{-2n}{n+1} \tag{8}$$
と評価できる。(8)式左端、右端の極限は、
$$\lim_\limits{n \to \infty}\frac{-2n(2n+5)}{(n+\sqrt{n^2+2n+5})\sqrt{n^2+2n+5}}$$
$$=\lim_\limits{n \to \infty}\frac{-2(2+\frac{5}{n})}{(1+\sqrt{1+\frac{2}{n}+\frac{5}{n^2}})\sqrt{1+\frac{2}{n}+\frac{5}{n^2}}}=-2$$
$$\lim_\limits{n \to \infty}\frac{-2n}{n+1}=-2$$
と一致することから、はさみうちの原理より、
$$\lim_\limits{n \to \infty}n(n\theta_n-\alpha)=\lim_\limits{n \to \infty}a_n=-2$$
が得られ、これが求める極限である。
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